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自分自身では確かめる勇気を持ち合わせていない臆病な秋川は、オバケを怖がり、布団を頭まで被って朝になるのをひたすら待つ子供よろしく、結局何もしなかった。
杉生のメールにも返信しなかったし、その雑誌とやらもチェックしなかった。
そう、全く無視をした。
しかしながら、当の本人よりも周りの、全然関係のない人間たちの方が大騒ぎをしてしまうことはよくあることだった。
その一番手は、秋川の直属の上司にして、妹の梨津のアイドルファン仲間である石サバこと、石本貞子だった。
「秋川君!見たわよ!今月のブリデー!」
「・・・ブリ、デー、ですか?」
ぶり大根をイマドキ風にオシャレに言っているのだろうか?と、秋川は本気で思った。
それくらいしか思い付かなかった。
石サバがぶり大根って、青魚つながりか?下手なダジャレのようだ。とまで思った。
しかし、全く違っていた。
「雑誌よ!雑誌!ブリリアントデイズ、略してブリデー。知らないの!?表紙だったわよ!?」
「ひょっ、表紙!?本当ですか!?」
驚きの余りに間の抜けた叫び声を上げてしまった秋川だったが、石サバは笑わなかった。
「・・・どんな風でしたか?」
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