1人が本棚に入れています
本棚に追加
川に着くと、俺は水を少しすくい、ハトの口元に近づけてやった。
ぐったりしたハトは、その水を少しずつ飲んだ。
それを何度か繰り返すと、ハトは落ち着いたようで、少しだけ話せるようになった。
「すみません。どこのどなかは存じませんが、こんな私に優しくしてくださって。」
ハトは本当に申し訳なさそうに言った。
「な、何言ってるんだ。この世は持ちつ持たれつだろ」
口が滑っても、俺が蹴っ飛ばしてしまったことは言えなかった。
「ありがとうございます。
お腹が減って動けなくなった所を、何かに突き飛ばされて。
あのままでは、私死んでいたかもしれません。」
そう言われ、俺は自分の足を見つめた。
そして、今後困ったハトがいたならば、絶対に助けてやろうと思った。
「ところでお前、他の仲間はどうしたんだよ?
そんなになる前に、仲間に助けてもらえなかったのか?」
俺がふとした疑問をハトにぶつけると、
「いや、私ね、生まれた時から片方の羽が少し不自由でして。」
そう言うハトは、おもむろに羽を広げた。
見ると確かに、右の羽だけ形が少し歪だった。
「で?それと仲間となんの関係があるんだよ?」
またハトに疑問をぶつける。
するとハトは、「フルッフー」と悲しげに鳴き、
「私この羽のせいで飛ぶのが苦手なんです。
最初のコメントを投稿しよう!