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それは言い過ぎだろうという話をするのは、母ーちゃんの麗々(れいれい)である。
俺は今、試練を受けるため、その準備をしている真っ最中であった。
「ところで、桃源。お供にする三匹はもう決めたのか?」
父ーちゃんが言う三匹のお供っていうのは、これまた桃太郎の鬼退治にちなんで、犬、キジ、サルのように、三匹の仲間を試練に同行させなければいけないのだ。
「うーん、一匹は家のタローを連れていこうと思ってる。」
俺がそっけなく答えると、
「お前。タローって、もう老犬だぞ!」
父ーちゃんがものすごく驚くのも最もだ。
タローは家で飼っている犬なんだが、年はすでに十七才。人間で言えば八十代半ばである。
体は中くらいで、毛色は茶色。耳はピンと立ち、鼻と口が尖っていた。
「いや、だってタローが一緒に行きたいって言うから。
老兵ならぬ、老犬最後の出陣じゃーって、はりきってるし」
俺も呆れながら言った。
ちなみにだが、この世界に住んでいる生き物は言葉を話す。
まぁー、桃太郎の話を知っている人ならそんなこと分かっているだろうが。
「うーん、そうは言っても、タローじゃ、そのー、足手まといじゃないか?」
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