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父ーちゃんが言ってることは正しいと思ったが、タローは俺が小さい頃からの家族であり、とても頑固なその性格から、言っても聞かないことは家族皆知っていた。
俺は「仕方ないよ」と一言いうと、わらじを履いて出掛けようとした。
すると、出掛ける俺の後ろから、
「あ、桃源。ほらこれ。
これから鬼退治に行くお供を探しに行くんだろ?
だったらこれがなきゃね!」
母ーちゃんが、小さい布袋を俺に渡しながら言った。
「これって、、、?」
大体の察しはついていたが、俺は念のため聞いてみた。
「何とぼけてるんだい?
き、び、だ、ん、ご!!
きび団子に決まってるだろ!!」
満面の笑みの母ーちゃん。
俺は母ーちゃんを見ながら思った。
"母ーちゃん、桃太郎はもう大分昔の話で、時代は変わったんだ。
今の時代、きび団子でついて来る奴はいないよ。
今は物だったりお金だったり、形のあるものじゃなきゃダメなんだ。
しかも、鬼退治の前に、前金よこせ何て言う奴もいるくらいだ。
もし、きび団子でついて来る奴がいるならそいつは、腹が減って死にそうな奴か、そうとうな変わり者しかいないと思う。"
しかし、満面な笑みの母ーちゃんにそんなことは言えず、「ありがとう」と言って袋を受け取り、俺は家を出た。
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