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二匹目の共
俺はタローと別れ、二匹目、三匹目の、まだ見ぬお供を探した。
しかし、そんな簡単に見つかる訳もなく、当方に暮れていた。
「あー、やっぱりきび団子じゃ、今のご時世誰もついてきてくれないか。」
道端の岩に腰を掛けながら、どうしたもんかと考えていると、道の先から一人の青年がやってきた。
その青年は見るからに桃太郎と言わんばかり格好をしているのだが、その体はぶくぶく太り、いかにもボンボンのお坊ちゃんという姿だった。
その青年はこちらに気づき手を振ってきた。
俺はその青年と話すのが嫌で、そそくさとその場を立ち去ろうしたが、俺の前にいきなり狼のような犬が現れ行く手を阻んだ。
そうこうしているうちに青年が「はぁはぁ」言いながら話しかけてきた。
「おいおい、ひどいじゃないか全く。それがこの村の村長の息子にする態度なのか?」
そう、The桃太郎姿のこの青年は、桃村の村長の息子、桃郎(ももろう)である。
桃郎は俺と同じ、今年二十歳を迎える青年で、これまた同じく鬼退治の試練を受ける一人なのだ。
「いや、これは桃郎殿ではないですか。遠くに大きなきび団子がある思ったら、違ったようですな。」
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