11人が本棚に入れています
本棚に追加
自分の作ったものが上手か下手かは得てして判断し難いものだが、親のこれは自分では上出来だと思っているのだから質が悪かった。そのせいか結構な頻度で食卓に上がる。
まあ、出されたものなので文句は言わず食うしかない。合掌し、定型文を述べると、スプーンを手に取ってそれを口に運んだ。
―――――――――――――――――――――――
「いつまで寝てんの?」
・・・心愛か、・・・小さいな。あ、薬で縮んだんだっけか。・・・紺色だな。・・・手になんか乗ってる?足?
「・・・ぃいっでえ!!」
「目が覚めたわね」
寝惚けた状態だったので気が付かなかったが、掌を踵で踏み躙られていたらしい。認識した瞬間に激痛が走った。
「暴力系ヒロインは人気出んぞ・・・」
「本当は私に踏まれて悦んでたんじゃないの?」
「そんな特殊な性癖はねえよ」
「ま、それならいいけど。早く起きなさい。今日の朝ご飯は私が作ったのよ」
意気揚々とそう言って、彼女はテコテコっとキッチンへ駆けて行った。中身は大学生なんだが、仕草は本当の小学生っぽくて可愛い。
どうやらカーペットで眠ってしまった(いや、気を失ったか・・・)ようだ。身体を起こすと、春町さんと山田さんがベッドで一緒に寝ているのが見えた。家主を床に寝かせて自分達はベッドで寝るのかよ。
「でーきたっ!ほら柚子、食べなさい!」
最初のコメントを投稿しよう!