2人が本棚に入れています
本棚に追加
そこはこの繁華街でも、一等地の場所であった。
角ビルの一階にある高級ラウンジ " シャンティ " 。
その重圧感ある扉を開いた。
中は二階をぶち抜いた天井高で、解放感が半端ない。それに程よい明るさで、他人を意識させる事もなく、なる程、客も繁盛している様だ。
「お一人様ですか?」
チーフらしき男が声を掛けてきた。
「ああ、初めてなんだが大丈夫?」
「勿論です。さあ、こちらへ」と、奥のボックス席に案内された。
しばらくすると、小柄な女性が隣の席に着いた。
「チカでーす」
と、どう見ても十代であろう彼女の人懐こさは、店の色んな事を話してくれた。
「あれって凄いでしょう?ママの自慢の熱帯魚なの。あれならサメでも入っちゃうよね。ふふっ」
とチカが店の中央にある、大きな水槽を指差した。
「じゃあ俺、そろそろ帰るんでママを呼んでくれないか。挨拶して行くよ」と男はチカに頼み、彼女は席を立った。
最初のコメントを投稿しよう!