第2章 過去の事件

3/6
前へ
/29ページ
次へ
そこはこの繁華街でも、一等地の場所であった。 角ビルの一階にある高級ラウンジ " シャンティ " 。 その重圧感ある扉を開いた。 中は二階をぶち抜いた天井高で、解放感が半端ない。それに程よい明るさで、他人を意識させる事もなく、なる程、客も繁盛している様だ。 「お一人様ですか?」 チーフらしき男が声を掛けてきた。 「ああ、初めてなんだが大丈夫?」 「勿論です。さあ、こちらへ」と、奥のボックス席に案内された。 しばらくすると、小柄な女性が隣の席に着いた。 「チカでーす」 と、どう見ても十代であろう彼女の人懐こさは、店の色んな事を話してくれた。 「あれって凄いでしょう?ママの自慢の熱帯魚なの。あれならサメでも入っちゃうよね。ふふっ」 とチカが店の中央にある、大きな水槽を指差した。 「じゃあ俺、そろそろ帰るんでママを呼んでくれないか。挨拶して行くよ」と男はチカに頼み、彼女は席を立った。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加