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中村が署に戻って来た。
「どうだった?」課長の徳永が顔を上げた。
「駄目ですね。加島の仕事上では多少のトラブルはあったものの、そこまで恨んでいる様なやつはいませんねえ」
「まあ加島も、堅気になって心を入れ替えたんだろう」と徳永はタバコをくわえた。
「それより古渕さんは?」と中村が訊ねると「あいつなら地下の書庫だよ。当時の長岡組解散の経緯を調べるそうだ」と徳永は顔をしかめた。
そして続けて「俺もここへ来て三年になるが、あいつが何を考えているのか未だに分からん!」
課長の事だから、どうせ掘り返しても何にも出て来ないと思っているのだろう。
中村は地下の書庫へと向かった。
「どうです古渕さん。何か出ましたか?」
中村の問いかけに、古渕は無言で書面を見つめていた。
「あの、古渕さん?」
と、中村はもう一度訊ねようとすると、古渕が口を開いた。
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