第2章 過去の事件

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「なんだか気になっていたんだよ。あの殺され方、何処かで見た様な記憶があって…そしたらこれだよ」と古渕は書類を机に置いた。 中村は、その事件記録を読んだ。 三年前、長岡組が本庁との合同捜査で銃刀法及び麻薬の摘発により、組長以下、幹部数名を逮捕。 それが事実上の解散劇であった。 そしてその一週間後、河川敷において女性の遺体が発見された。 死亡内容は溺死となっているが、暴行を受けた形跡が多数見られたと記述してある。 何より驚いたのは、害者の左手だ。 薬指以外の全ての指が、切断されていた。 そしてその薬指には、結婚指輪が嵌められたままであった。 「犯人は自主して来た。元長岡組の下っ端のチンピラだ。しかし、それに異を唱える刑事がいた」 古渕は口をつぐんだ。 「誰ですか?」 「佐久間って言う本庁の刑事だ」 「でもどうしてそう思ったんでしょう?」 「チンピラが、通り魔的に出来る犯行ではないと考えたんだろう。ま、俺も同意見だが」 そして古渕は、害者の名前を指差して言った。 「この女性、佐久間の奥さんなんだよ」
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