第1章 第一の殺人

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古傷の男は、そのまま公園に入って行く。 中はレンガで積み重ねた、楕円形の花壇があるだけの小さな公園だ。 すると、古傷の男が急に立ち止まり振り返った。 「誰だ?俺をつけてるのは分かってんだ!」 だが、誰もいなかった。 いつの間にか雨も上がり、雨音もしなくなった公園は静かであった。 「何だ、気のせいかよ」と古傷の男が前に向き直った時、誰かが目の前に立っていた。 「わっ!な、何だよお前…」と言いかけた時たは、男の首筋にジャックナイフが突き刺さっていた。 「うおっおごっ…」と瞬く間に血が噴き出した。 崩れ落ちた身体は、尚まだ痙攣している。 「まだ死なないでくれよ」と男は懐からシガーカッターを取り出した。 「この刃は特注品でな。動物の骨でも簡単に砕いてくれるそうだ」 男はそう言って、血だらけの男の左手を持ち上げた。 そして、シガーカッターに指を挟み込んだ。 「ぐわあっ!」 叫び声が公園に響いたが周りに民家は無く、ただ腹を減らした野良犬が、うろうろと獲物を探しているばかりであった。
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