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古傷の男は、そのまま公園に入って行く。
中はレンガで積み重ねた、楕円形の花壇があるだけの小さな公園だ。
すると、古傷の男が急に立ち止まり振り返った。
「誰だ?俺をつけてるのは分かってんだ!」
だが、誰もいなかった。
いつの間にか雨も上がり、雨音もしなくなった公園は静かであった。
「何だ、気のせいかよ」と古傷の男が前に向き直った時、誰かが目の前に立っていた。
「わっ!な、何だよお前…」と言いかけた時たは、男の首筋にジャックナイフが突き刺さっていた。
「うおっおごっ…」と瞬く間に血が噴き出した。
崩れ落ちた身体は、尚まだ痙攣している。
「まだ死なないでくれよ」と男は懐からシガーカッターを取り出した。
「この刃は特注品でな。動物の骨でも簡単に砕いてくれるそうだ」
男はそう言って、血だらけの男の左手を持ち上げた。
そして、シガーカッターに指を挟み込んだ。
「ぐわあっ!」
叫び声が公園に響いたが周りに民家は無く、ただ腹を減らした野良犬が、うろうろと獲物を探しているばかりであった。
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