第1章 第一の殺人

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刑事課に連絡が入ったのは、翌日の午前八時過ぎであった。 犬の散歩に来ていた爺さんが、死体を見つけて通報して来たらしい。 現場では検証が行われていた。 古渕(こぶち)は、ぬかるんだ足元を気にしながら、仏をじっと眺めた。 「古渕さん見て下さい、害者の左手。薬指以外、全部切り取られていますよね。何の意味があんのかな?」そういう中村は、古渕の後輩であり、相棒でもある。 「こういうのを残すやつは、たいがい怨恨絡みだな」と古渕はタバコに火を点けた。
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