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幼なじみとかそんなベタな関係でもなく、クラスが同じだったからというありふれた理由で初めて喋ったようなやつ。
勉強だって私よりできないし、運動だって取り柄になるとは言えないレベルのやつ。
性格は言わずもがな、ふざけた男子のイメージを具現化したようなやつ。
容姿は至って平凡で、背丈は目線が変わらないぐらい。最近やっと伸び始めて自慢してくるようなやつ。
___フラれた元カノに、未だ想いを寄せてるようなやつ。
いくら考えても長所なんか出てこないし、イライラするだけなのに。
なのに、話してると声が弾む。顔が緩む。
意識していなくても、目が捉えている。
誰かといたら胸が痛む。
自分の身体なのに、うまく操れなくなるのが酷く苛ついて、少し楽しんでいる自分に戸惑う。
ホント、なんなんだよお前。
「うぉっ!?なんか今めっちゃ寒気したんだけど」
「誰かの恨みでも買ってんじゃないのー?」
「お前か?今の殺気お前だろ!?」
「知らなーい」
「俺なんか怒らせた?謝るから呪い殺さないで!」
「そんなことできるか!」
「出来たらやんの?」
「うーん……」
「ちょっ、悩むなやめい!」
まただ。気づけば笑っている。
鬼気として針を進めていた手が緩む。こんな短い会話でも、トゲトゲしていた気持ちが穏やかになるのを感じる。
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