10月・巨人、大鵬、卵焼き

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 想像していた通り 東京ナイト・フレンドのりょうたんの放送も 野球で巨人が優勝したと言う話題が持ちきりで放送が進められていた。大の巨人ファンを自称している パーソナリテーのりょうたんにとって、とにかく巨人の優勝は今年最大のニュースともいうべきものだった。中日ファンの旋にとっては巨人の優勝を祝う多くのリスナーたちのコメントには複雑な思いが強かったが、来年こそは我が中日ドラゴンズが巨人の10連覇をきっと阻止してくれると信じて疑わなかった。  しかし、東京発のラジオを聞いていると日本中に如何に巨人ファンが多いかがわかってくる。愛知県では地元の中日ファンが多い様に感じられたが、子どものころからテレビ中継では、毎日のように巨人と中日の野球中継が伝えられ、巨人にはホームランキングの王と スーパーヒーロー長嶋が居て、キャッチャーの森や盗塁王の柴田、ショートストップの守備のかなめ黒江がいて、ピッチャーにはエース高橋や怪童堀内等のキラ星のようにスター選手がそろうチーム事情は簡単なものではないと考えるしかないものだった。  我が中日ドラゴンズと言えば、根性の闘魂 星野に高木、木俣、谷沢、島谷と地元では魅力的だと感じる選手がそろってはいたが、全国的に見ればローカルスターでしかなく その人気度や粒の大きさから言えばどうしても名古屋だけの選手と言った感は否めず 東京のラジオ放送に対して 「来年こそ 中日が巨人を破って見せます!」 と葉書で啖呵を切るにはちょっと気がひけてしまうのは正直なところで、東京の巨人ファンたちが ラジオを通して盛り上がっているのを 指をくわえて聞いているといった状態が続いていた。     
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