11月・合唱コンクール

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 クラスの順位は上昇しつつはあったが、どうしても5組には勝つことが出来なかった。クラスのまとまりは決して悪くないし、個々の実力なら5組に引けを取ることなどないと感じてはいたが、毎回のようにいつも敗れ去ることとなってしまっていた。3年生になって常に優勝をさらっていく5組の存在は旋達3年4組にとっては何としても乗り越えなければいけない大きな壁となっていた。  3年生にとって最後に残されたイベントが 校内合唱コンクールで、ここで優勝することは学校を代表して市の主催する6つの中学校の対抗合唱コンクールへの出場権がかかった最も大きな意義のあるイベントでもあった。  高校受験が迫りくる中でこの合唱コンクールはクラスが一つになってぶつかっていくチャンスとしてクラス担任の山村が3年4組というクラス全員にぶつけたチャレンジの場だった。 「ここで頑張ることが出来れば 必ずみんなの高校受験の願いはかなう! 頑張ろう!!」  山村先生の主張する合唱コンクールの勝利が受験の成果とどのようにして結びつくのかは理解しにくいところはあったが、山村の言葉に魔法をかけられたように、クラスがまとまって成し遂げる事が、受験勉強にも強い雰囲気を作り上げていくのではないかという受験生に対しての催眠術のような盛り上げ方は、クラス全員の気持ちを高ぶらせた。音楽教師のクラスで合唱コンクルーに向けて直接指導を受ける事も出来る事は、3年4組にとってはプライドともいえる 負けられない中学最後のイベントでもあった。     
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