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クラスで一番身長が高く 野球部のエースだった赤山裕司が
いがぐり坊主頭を?きながらその場の雰囲気を和ませた。
「安心しろ 俺も口パクで行くから みんなの足を引っ張る事はしないから・・・」
赤山に同調するように、剣道部の金田幸一も続いて口パク宣言をして グランドピアノを取り囲むクラスメイトを笑わせた。
金田は剣道の試合では、試合会場の体育館が引き締まるような気合のこもった絶叫を発し、おそらく学年、いや学校中を通じても最も大きな強い発声力を持った男子生徒であると思われるのだが、その彼が 合唱コンクールの場で口パクを演じる事は考えただけでも違和感を感じるところもあった。
「違うんじゃないかな?」
「声が出ないのは仕方ないし、音階が合わないのはしょうがないと思うけれど、口パクって なんか違うんじゃないか?」
旋は、口パク宣言した二人を否定するように思いをぶつけた。
「私も違うと思うよ。」
「中学生活最後の合唱大会じゃない。そのイベントで口パクで通したって、悲しいし、それでたとえ優勝したとしても、私はうれしくないな。」
「たとえ。音階がずれてしまったり、だみ声になってしまったとしても、思い切りやろうよ!」
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