昭和48年・春

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 旋も地元派のメンバーに名を連ねていたのだが、東京の都会的な話題が中心の「ハ~イ!ヤング」派や「パック・イン・ミッドナイト」派にも最近興味が津々で地元派から乗り換えようと言う意識が次第に目覚め始めていた。全国ネットのテレビ番組などにもちょくちょく顔を出す東京のラジオ局のパーソナリテーにリクエスト葉書を読まれた友人は放送の翌日はまさにヒーロー扱いで、クラスの人気を集め友人たちの輪の中心にいる事はうらやましくもあったし、地元波でリクエストカードを読まれても東京の全国ネットのラジオ放送とは差別されて 低くみられてしまうのがいつもの事だった。 東京の二つのラジオ局の番組仲間に入ることも 今さら参加しても前からいる連中に新参者扱いされるのが嫌だったし、これまで聞いてきた地元のラジオ放送にも愛着が深かった。  こんな旋が偶然ラジオのチューニングで拾ったのが、東京の第三勢力のラジオ局SBS放送の「東京ナイト・フレンド」という番組だった。出力数が低いSBS放送を愛知県で受信する事には繊細なチューニングが必要だったが、その話題は以前数回聞いたことがある 東京派の文京放送やTBYラジオとはちょっと変わった東京のローカル放送ともいえる ちょっとレア情報が詰まった内容に引き付けられたのだった。  東京の都会的な話題や香りが漂いながらも、「ハ~イ!ヤング」や「パック・イン・ミッドナイト」のメジャーな人気番組とは一味違った番組の進行の雰囲気はそのインスピレーションが旋の心の周波数とぴったりマッチしたようにも聞こえて来たのだ。 『東京ナイト・フレンド』なら他の名古屋の放送局の地元派ともメジャーな東京派のラジオファンの連中とも違った優越感の中で深夜放送が聴けるかもと感じてだんだんとファンになっていった。     
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