昭和48年・春

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『東京ナイト・フレンド』は東京発のラジオ放送の為、愛知県で受信するにはラジオのアンテナの向きを設定し、微妙な電波を拾う事が必要で、電波の混信などから週末の金曜日の深夜がなぜかもっとも受信がしやすくクリアな音声を聴くことができた。  金曜日の深夜 土曜日の深夜1時から朝3時までの放送の「サタデー東京ナイト」の担当パーソナリテーは SBS放送の局アナから選ばれて担当している『りょうたん』こと増田良太。東京の慶明大学出身のシティーボーイだとラジオで自己PRしていたのだが、実際は静岡のお茶畑農家出身のカントリーボーイというのが本当のところらしかった。 旋にとってはりょうたんの会話の端々発せられる 遠州弁のイントーネーションが三河弁に近いところがあり 一層親近感を覚えるところがあった。  東京ナイト・フレンドには 東京発の深夜放送でありながら、その出力の弱さから放送が届く範囲が狭く。メイン聴衆者は、そのファン層が東京、関東周辺に限られて居るのが大きな特徴で、旋が「怪傑黒頭巾」のペンネームで送るリクエスト葉書は 愛知県という遠方から届くことで逆に注目を集め 2週に1回程度の割合で読まれることが多くなり、りょうたんからは常連リスナーの一人として認められつつあることがうれしかった。 「秘密のメロディーさんからのお手紙です。」     
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