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断末魔の叫びって、ああいうのを言うんだな。俺もう本当に怖くなって、一人で走って逃げた。
S?ああ、勿論、戻って来てないよ。本当にいなくなったみたい。若しかしてさ、向こう側に行けるんじゃなくて、連れて行かれるのかもな。
あ、俺?そうそう、俺はね、何とも無いんだよ。本当に良かったよ!
……あれ?つまんなかった?こんなオチだったから、がっかりしてんの?あー、じゃあさ、Sが帰って来なかった、までを参考にしてくれよ。俺の話は無しで。
ごめんな、時間取っちゃって。じゃ!作品出来たら、俺に一番に見せてくれよな!じゃあな!」
機関銃の様な声は、遂にしんとなって、それに代わって携帯は、単調な音を響かせた。僕は溜息をついた。
その時、携帯がまたけたたましく鳴り響いた。表示された名前を見る。
果たして、言うべきだろうか?それさっきも言ったよ、と……。
彼からこの電話が掛かって来たのは、もう4回目だ。回数を重ねる毎に、彼の声は上擦ってきている。
決して、オチがつまらないから、がっかりした様な反応になる訳じゃない。寧ろ――
――寧ろ、この先どうなるのかが、楽しみなのだ。
僕は微笑むと、通話ボタンを押し、携帯を耳に当てた。
「モシモーシ」
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