第1章 柚希、狼台の神様に願う

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「スードベルド付げでなー」 お気づきかも知れないが、おじいちゃんの言葉は聞きづらい。 『か行』と『た行』には濁点がつくし、『し』は『す』に聞こえるんだ。 これが狼台(おいのだい)の方言なのか、歯が足りないからなのかは分からない。 どっちもなのかな? 「うん、おじいちゃん」 返事だけはちゃんとしなさいよ。 ママの言葉を想い出した。 「無人駅だから、おじいちゃんが迎えに来てくれるからね」 狼台駅(おいのだいえき)に着くまでは、無人駅という言葉に違和感があった。 だって、うちの近くの駅だって、無人改札だ。駅員は立っていない。 でも、意味が分かった。 本当に駅舎内に誰もいないんだ。 AIが仕事をしてるわけでもない。
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