第1章 柚希、狼台の神様に願う

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「無人駅だから、鈍行(どんこう)で行くのよ。急行からの乗り換えは大変だから」 鈍行って何だろう?って思ったら、各駅停車のローカル運行のことだった。 でもここには、ママがいないから、もうスマホでネット検索ができない。 おじいちゃんはスマホを持っているようには見えないし。 まぁ、夏休みの間だけだから何とかなるかな。 「グーラーついでねがら、窓あげっがらな」 僕もおじいちゃんの見様見真似で窓下のハンドルをグルグル回した。 細長い突起物はどうやらドアロックのようだった。 外では、ジージーという虫の鳴き声が聞こえ、一層暑さを増した。 Tシャツの背中が汗ばんでいて、シートに背中を預けると少し気持ち悪かった。 駅の周りにコンビニもないんだ……。
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