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第4章 柚希、フランケンを夢でみる
「おいニンゲン。いくら何でも『ふらんけん』はないだろ」
和室に入るなり、フランケンの猛抗議。
「フランケンって名前が気に入らないの?」
「いくら何でも失礼だろ。ツギハギだらけとは言え、腐乱した犬なんて!」
「ごめん。TVCMでフランダースの犬が映ってたから……」
「それで、フラン……ケン?」
「うん。フランケンってフランケンシュタインっぽいしさ」
「ニンゲンが言いたいのは、怪物の方だろ? フランケンは博士の名前だ。
まぁ良いや。俺もこの見てくれだ。ゾンビ犬よりはマシかもな」
「フランケン、エサはもう要らないの?」
「大丈夫だ。さっきのポテトチップスで十分だ。この体の時は省エネなんだ」
「そういえば、助けてくれた時、オオカミみたいだった! あと何で話せるの?」
「今更かよ!」
結局、フランケンは何も教えてくれなかった。
どうしてオオカミの姿になれるのか?
どうして言葉を話せるのか?
僕は自分の経験上、相手が言いたくないことをしつこく聞くのは良くないことだと分かっていた。
だから、もう今日はお風呂に入って、歯を磨いて寝ることにした。
2週間だけだからな、とフランケンは僕に言って布団の横で丸くなった。
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