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県外から来る人にとっては待ち合わせの目印になるし、まあ、悪くはないのかな、と思うのだけど。
なにか妙な気がして振り向いた。
色鮮やかなミニチュアの楽団が奏でる、どこかノスタルジックなメルヘンチックな旋律。
旅芸人のようなコスチュームのお人形の中に、なにか、とても見覚えのある、とても気がかりな、腹ただしくて放り出したくなるけれど、それもできない大事ななにかが紛れているような気がした。
セーラー服のお人形が、バイオリンを弾いていたような気がしたけれど、よく確かめるより早く、時計塔は演奏を終えて、人形たちは「ぱたん」と、扉の中にしまわれたのだった。
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