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「何事だ?」
「中国から最終通告がありました。あと2時間以内に降参をしなければ、核兵器使用を含む最大規模の空襲にて東京を火の海にすると…。大統領、どうか、国民をお守りください…。誠に遺憾ではありますが、これ以上の犠牲は無意味です。国民の命は、大統領のご決断にかかっております!」
俺は深く深呼吸すると、天井を見上げた。
「あと2時間か…。万事休すだな。降参以外の選択肢はないだろう。…分かった。中国と電話を繋いでくれ。私が直接話す」
まさかここまで来て、あの日失った白に足元をすくわれるとは思ってもいなかった。
もう少し早くこの事に気付いていれば……いやよそう。今は清々と中国に降参を宣言し、これ以上の国民の犠牲を防ぐのだ。
「大統領、中国と繋がりました」
俺は幕僚長から電話を受け取った。挨拶もそこそこに、俺は降参を宣言した。
…つもりだった。
降参が、できない。
いざ降参を言葉にしようとすると、言葉が胸につっかえ、頭にモヤがかかり、何も話せない…!
これは………どういうことだ!?
「大統領!?時間がありません。どうか、ご決断を!」
「分かっている!分かっているのだか…何故か…出来ないのだ!!」
東京上空で待機していた中国軍の戦闘機が一斉に爆弾投下の準備を始めた。
時間切れだ。
俺はその時にようやく気付いた。
俺には、白旗をあげることも許されていなかったのだ。
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