第2章 奪われたものは?

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俺は強い日本国を目指して政治活動に邁進し続けた。 強硬な外交政策を押し通し、保護主義と言われようが自国民の権益を最優先とした政策を徹底した。 その道は決して間違ってはいなかったはずだ。 しかし、やはり避けられない運命なのか、日本は中国との戦争に突入した。 きっかけは領海侵犯からの小さな衝突だったが、かつてないほど高まっていた中国民の反日感情、日本国民の反中感情がそれを戦争まで発展させてしまった。 始まってしまったものは仕方ない。 本意ではないが、これは想定の範囲内だ。 核兵器は保有しなくとも、我が国の自衛隊は米国軍にも引けを取らないほど最新鋭の装備を持ち、徹底的に訓練された精鋭部隊となっているのだ。 米国との安保条約は俺が破棄した。 米国の後ろ盾はもうない。これは日本対中国の戦争になる。 大丈夫だ。単に戦力だけで比較しても我が国が負けるはずはないのだ。 しかし、戦況は悪化の一途を辿った。 天候は常に中国の味方をした。日本軍は軍事機器の故障が相次ぎ、司令塔も次々と原因不明の病に倒れた。連敗に次ぐ連敗で、もはや日本軍に勝ちの目は見えない。 今では東京の上空を中国の戦闘機が我が物顔で飛んでいる。 どうしてこうなった? あらゆる戦略が裏目に出ている。 ふいに、悪魔との契約を思い出した。 白…….白…… !!! ……俺はこの戦争に勝てない! 俺は、白星をあげることはできないのだ! なんてことだ。 俺は国の代表として失ってはならない色を失っていたのか…。 これは絶望的だ。 今から大統領を降りるか。いや、次の大統領を決めるための国民投票などをやっている時間はない。 他の国も巻き込んで大戦とすることができれば、白黒がつく一対一ではなくなり、戦局が変わるのではないか!? しかし…、その交渉にも時間が……。 「大統領!!!」 幕僚長が部屋に駆け込んできた。
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