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「何!店を継がない?!!」
「おやじ分かってるだろ?
俺には和菓子屋は合わないんだよ。
和菓子屋が甘いもの嫌いじゃ、
うまいと感じないもの客にすすめられないだろ」
「じゃああれか、スーパーやコンビニの店員が商品全部好物っていとでも思ってんのか?」
「そりゃあ、ないだろうけど、
あのさ、
完全に屁理屈だよそれ」
「誰のおかげででかくなったと思ってるんだ!
お前の嫌いという甘い物の、
『又三郎まんじゅう』のおかげだろうが!」
『又三郎まんじゅう』は、
うちの看板商品。
藤吉の名は知らなくても
『又三郎まんじゅう』は知っているという人は多い。
駅のキヨスクにも置いてもらっているくらいだ。
先代、つまり俺の爺ちゃんが、
宮沢賢治の風の又三郎と、
上州名物空っ風をかけて、
宮沢賢治は東北出身だが、
それは置いといて(笑)
地域の有名になるようなものを作ろうと考え、
命名したのが始まりだと言う。
おかげで、俺のあだ名はずっと又三郎。
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