私は白が嫌いだ。

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魔女として暮らして、もう五百年は経つ。仲間も増えて、愛しい恋人もできた。最早、憂など一つもありはしない。自分の周りに憂など微塵も感じはしない。 今宵は夜風に当たりたくて、月が見える高さまで舞い上がる。お気に入りの杖はしっかりと私の体を支えて、安定した場所に居る。夜空は淡い光で輝いて冷たい夜風が心地いい。 身につけたローブが風に撫ぜる。 こんなに満たされている。こんなに幸せでいる。なのに、どうしようもなく虚しくて、哀しくて、苦しいのは何故なのか。その答えがいつまでもわからない。 月が白く輝く。 「ああ、そういえば」 私は白が嫌いだったな。その理由もよくわからない。五百年も生きていて自分のことがわからないなんて、笑われてしまう。でも仕方がない。ずっと私は背けてきたのだ。自分の姿を見ることを。だから自分のことが完全に理解できていない。我ながら幼稚な理由だ。こんなことでは世界最強の魔女とは言えないな。 「ふう……」 そっと、空にため息を吐く。その息は白く綺麗で、自分の口から出しているのが、不思議に思えた。 どうして白はこんなにも綺麗なのか。そんなことを思ってしまうほどに。 そんなことを考えていると
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