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あははっと西瓜は笑った
「好きか?稔の事」
意外にもその一言はさらっと言えてしまった。親友ならではと言えばそうかもしれない
「好きよ。ただし恋人としてね」
そのただしの意味は聞けなかった。恋してる訳でも無いのに、なんだか聞きたかったんだ。聞けなかったけどね
「でもね」
「別れても良いんだよ?西瓜に酷い事ばっかりするんならさ」
確かに……稔は決して表ではやらないが、裏でされた嫌がらせは数えきれない。川に落とされた事もあるし山で置いてきぼりにされた事だってある。
だけど、別れる程となると……考えてしまう
「なんて冗談だよーごめんね。そんな顔しないで」
「するよ。だって」
「ずっと……西瓜の事、心配してるからさ」
初めて見た西瓜の顔だった。告白でもきっと見られない様な顔だろう。なんて顔なんだ……僕も驚きしか出ない
「ふふっ……」
「ありがとね。夏蜜柑くん……」
小さく笑って、西瓜は帰り支度を始める。いつの間に、夕方だ。温もりの色の夕方だ
「ね」
「久しぶりに……一緒に帰らない?ちょうど良いしさ」
その問いに快く
「うん!」
と、返せた。そうして……俺達は仲良く二人で帰った。途中から一人になっちゃったけど仕方ないのかもしれない。それが
西瓜の成長した姿だと思えば
俺はどんなに嫌われたって構わないんだから
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