ランチタイム狂詩曲 1 ピンクのカーディガンを肩に掛けて

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「何をしても叱れそう、いつもお葬式  ファッションだし」 私の第一印象、 新入社員のリサちゃんが 同期の子に言ってた。 月一の会議後のランチタイム、 駅ビルカフェ。 (一駅地下鉄に乗っても  オフィスから離れるべきだった・・・) 観葉植物とコーナーが死角になって 私に気付かなかったらしい。 「そんなことないよ。  公平な人や、池上課長は。  僕ら営業は派手には出来んしな」 柔らかな関西弁は菅君の声。 「僕はあの人の下に付けて  ラッキーやと思てる」 (ヤバイ・・・やばいぃぃ  飛び出して抱きしめたい!) 乳製品会社の営業部第2課課長になった 今年の春、彼が私の課に配属。 身長180、やや細身に新しいスーツが 初々しい彼に、私、池上香苗 32歳が恋をしてしまった。 何年ぶりだろうか、こんな気持ち。 同期トップ出世で、男性社員に 「アレは女というジャンルでない」 と噂され、三種類のスーツを ローテーションし、1色の口紅を 底まで使っていた私が 新しいスーツを何着も揃え、 新色の口紅まで毎朝選んで 出社を楽しむほど、 彼にLOVE ×無限なのだ。 「おはようございます!  今朝もエエ天気ですね」 な~んて言われると 「ホンマやね」 な~んてマネして大阪弁を使って ハシャギ気味に営業車に乗り込む。 新製品を携えてスーパーやデパート、 小売店、飲食店を回ったりするのが 私達の主な仕事。 「そんな重たいモン、僕が持ちます!  女の人にはさせられん!」 スマート過ぎる・・・  『女でも課長になるんだから   力持ちだろ?』 みたいな同期の男どもよ、 見習え!って上々な私。 さらに私のテンションに 拍車をかけてしまったのが 「昼飯ですね、僕、ちゃんと  リサーチしてきましたよ」 彼とのランチタイム。
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