ランチタイム狂詩曲 1 ピンクのカーディガンを肩に掛けて

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初めて菅君と営業に出た日、 「ここの味噌煮込みウドンが美味しいの」 一宮の真清田神社で 「二人の営業成績が上がりますように」 祈願して、裏手の太田屋を案内した。 私も中部出身ではないから、 詳しいわけでもない。 名古屋支社に来て6年の軽い知識。 「めっさ、美味いやないですか?!」 って、トロロにご飯をオカワリ。 御馳走の甲斐がある笑顔。 で、次も、と思ってたら 「今日は僕、調べてきたんで  御馳走させて下さい」 と、パスタ屋さん。 で、火曜、金曜のランチが 交互に店調べ&御馳走で 最高のランチタイムになった。 以前は“車中カロリーメイト”も 平気だった私が!が!が!! “好きな男性と食事する” ・・・こんな小さな悦びが 私を笑顔にする。 「この近くの曼荼羅寺ってね、  藤の花が綺麗なの。  もう時季でないのが残念だわ」 “見せてあげたい所”の話で饒舌気味。 「課長のそういう話はエエですね、  飯時に人の噂話や  仕事の話は飯が不味い」 お世辞でも嬉しい・・・。 「今日は鰻を御馳走しますよ」 「高いじゃない、今日は私、払うよ」 「ボーナス入ったし、  エエカッコさせて下さい」 (ああ、可愛いい笑顔!) 「美味しいネ!」 「最高っすね!」 「醒ヶ井にそろそろ“バイカモ”が  水の中で咲くの、町の様子も綺麗よ」 「醒ヶ井は関ヶ原のほうですよね?  僕、あの辺は行ったことないんです。  日曜に行きませんか?」 箸も心臓も止まった。 「予定入ってますか?」 「ないない、ないよ!大丈夫!」 「よし、日曜ドライブや」 もう胸の中、バイカモ、満開!
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