幸福な噂と 不幸な結末

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都会のとある路地裏には、通ると幸せになれると噂されている路地裏が「あった」、好きな人と両思いになれるとか、会社で大きな成功をするとか、とにかく人々の不安や悩みを直接解決する、しかしその肝心の路地裏は容易く人々の前に現れない、しかし目印にこんな謳い文句の張り紙があるらしい。 「悩みを全て捨ててしまいましょう。」 一時期ネットにはその路地裏の偽物写真が多く出回り、都会では幸せになれる路地裏を見つけようと、多くの観光客が都会に押し寄せた。 しかし、幸せになれる路地裏の噂が生まれ始めてわずか数カ月後の事、その都会で行方不明者が出始めた、最初の行方不明者は高校生なのだが、それからサラリーマン・学校の教師・年配など、年齢も性別もバラバラ。 中には政府のお偉いさんも混じっていて、警察が調査すると、行方不明者のとある接点が浮上する、それは全員が「幸せになれる路地裏を探していた」事だ、友達や家族にその事を伝えているか、もしくはその路地裏の話をほのめかしていたか、とにかくそれしか接点が出てこなかった。 そして、行方不明者が数十人に及ぶ頃、その路地裏に関してこんな噂が囁かれる様になった。 実はその路地裏は異界に繋がっていて、その異界に足を踏み入れた人間は二度と帰っては来られない、そしてこの路地裏を「幸せになれる路地裏」と謳ったのは、その異界の住人、何らかの理由で人間達を異界に誘い込んでいるのだ。 ネットの噂では、その路地裏からは美少年、または美少女が言葉巧みに人々を異界に連れて行ってしまう、そしてその異界に消えてしまった人々がどうなっているのかは誰にも分からない。 この事態に政府はその路地裏探しを禁止して、都会にある全ての路地裏を閉鎖、警察の話だと、路地裏探索で彷徨っていた人を限定して拉致する変質者の仕業らしいのだが、政府が路地裏を閉鎖しても、警察が見張りを強化しても、行方不明者は後を絶たない。
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