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今はまだ、本気であたしたちのこと相手してないだけで、向こうはあたしたちの100年先を行ってると思う」
「そりゃまた」
「数字はてきとーだけどね。
でも、もう負けてると思うよ。
みんなの話を聞いてるだけのあたしでもわかる。
けどね、強い人たちは、みんなみたいな弱い人の話を聞かない。
あたし、ちょっと怒ってるんだ。
でも、しかたないのかなぁ」
「戦って死ぬより、負けて飼い殺される方が恐ろしい。
僕もそう思うよ」
「でも、このまま戦ってたら、絶対みんな死んじゃう」
「君は、負けたらどうする?」
「うーん。
まあ、奴隷にされるでしょ。
でもなんとか逃げ出す。
なるべく、みんなも連れてく。
それで、うーんと、そうだな。
穴を掘る!
地下にエリカ様帝国を作って、みんなで楽しく暮らしましたとさ。
めでたしめでたし!」
男がため息をついて、それから少しだけ笑顔になった。
「君は強いな」
「へ?」
「本当に強い人だ。
どうか、何があっても、そのままでいてくれ」
男はカバンの口を閉め、小屋を後にした。
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