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次の日の朝、エリカの耳に訃報が入る。
薬屋の男が殺された。
精神の錯乱した子供が、薬屋を敵だと思い込み銃撃したのだ。
エリカは泣いた。
泣き叫んだ。
そして開業時間には泣き止み、笑顔で患者を迎えた。
__現在__
「結局、あの人たちなんだったんだろ?」
エリカが首を傾げる。
「さあな。
まあでも、君らに攫うだけの価値があると思うやつも、それなりにいるだろうな」
「お姫様ってこと?
やったぜ!」
「めんどくさいってことだ。
やってない」
エリカのことと、流石に俺が疲れたのもあって、適当な民家の中で一旦休憩することにした。
誰も異議は唱えなかった。
俺も、休めるなら休めるだけ休みたい。
「ところで、どうして俺は縄で縛られてるんだ?」
シャリスがフンと鼻で笑う。
「エリカと同じ目にあわせてやると言っただろう?」
「……そりゃどうも」
案外シャリスは冗談めいたことが好きだ。
よく、エリカと何事かを言い合っては、声を上げて笑っている。
まあ大抵はこのようにして俺が笑いの題材にされるのだが、そこまで悪い気はしない。
シャリスは、テフとニルにはあまり口を利かない。
「おーい、テフ先生。
君が頼りだ。
こっちに来て縄を解いとくれ」
少しだけテフが振り向き、目が合う。
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