ep1

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でもすぐに、顔を前に戻して、別段面白くないだろう窓を見つめる。 こいつはずっとこんな調子だ。 「じゃあニルでいいや。 わかるか? 縄だぞ。 な、わ」 手首の先から延びる縄の先端を左右に振ってやると、机の脚にしがみついていたニルが飛びついてきた。 ニルが小さな歯で縄に噛みつく。 慌てて動かすのを止めた。 「お前は犬か」 ニルは言葉を喋れない。 多分文字を書くこともできない。 加えてこれだ。 意思の疎通は半ば不可能と言える。 テフとニル。 この二人とコミュニケーションを取らないシャリスの態度も、まあわからなくはないな。 俺も少し困っている。 何一つ困ったことなんて無いような顔で、エリカが笑った。 「いいなあ、タナカ君。 ニルちゃんに愛されてるなあ」 「心理学的に、これは愛情表現なのか?」 エリカがニルの頭をそっと撫でると、ニルは口を開けた。 「うーん……。 愛ってことにしとこ。 それかお腹が空いてるのか」 「お、もうそんな時間か」 「うん、12時回ってる」 「じゃあ食うか。 っとその前に、君ら、ちょっと良い子にしててくれ」 シャリスが鼻を鳴らす。 「あの糞メガネへの報告か」 「今からその糞うんこと通話するから、間違ってもご機嫌なこと言わんでくれよ」 無言でシャリスが俺の縄を解く。 みんな、無表情になる。     
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