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憎しみは伝播し、誰に言われるでもなく、子供達は大人達を殺す為に死んでいった。
対する大人達は、まだ少し舐めてかかっていた。
とっとと、核でもなんでもぶち込んでれば、今の地球も少しはマシな姿だったかもしれない。
煽りたがりの武器商人共が子供の味方につき、戦争は激化していった。
子供達はどこにでも潜んでいた。
路地裏に、海に、砂漠に、あるときは、娘、息子たちのクラスメートとして学校に。
もはや核でも、収集はつかない。
戦争は長期化し、地球はめちゃくちゃになり、大人も子供も擦り減って、擦り切れていった。
ところで、もっともっと昔の人間にとっては馬鹿げた話かもしれないが、この世界には神がいた。
その実在が証明された時、この世のありとあらゆる宗教は、現在では真理教って呼ばれてるやつに統一されたらしい。
その真理教の唯一神が、キレた。
その時は喋る猫の姿をしていた神が、捻じれたしっぽを高く掲げる。
するとその瞬間、世の中から子供達が消えた。
消えたのだ。
骨も、塵すらも残さず、ただ記憶にだけ残って、ほぼ全ての子供達が消滅した。
けれど、奇しくも最初の子供達と同じ数、四体の子供だけが、どういうわけか消えずに残った。
これは、その四体の子供達と、この俺タナカ・タロウの話だ。
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