ep1

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『こちらシャリス。 タナカ、応答しろ』 「あいよ、聞こえてる。 そっちはどうだ」 『映像、音声、共に問題なし』 「はは。 どーよ、スゲエもんだろう。 俺の視覚と聴覚が、直接お前の頭に送りこまれてるんだぜ」 『無駄口を叩くな、走れ!』 「はいはい」 細かな流砂で出来た道に、車輪の跡がついている。 昔はここに田んぼがあったんだろうな。 廃墟が点在する荒地の中、奴らを追う。 すぐに敵の根城が見つかった。 廃病院らしき建物の前に、見張りが立っている。 『どうすればいい?』 「どうもしなくていいさ。 オペレーターが要るような大事じゃない」 『大事だ! エリカが攫われたんだぞ』 「大丈夫だ、任せてくれ。 そっちでもし何かが起きたら、その時だけ頼むな」 『…………エリカの身に何かあったら、お前も同じ目に合わせてやる』 電信柱の影から様子を伺う。 入口前に一人。 それと、二階の窓から狙ってるのが一人。 あのバレルの形なら、うちがだいぶ前に使ってた銃だ。 めっちゃ指痛くなるんだよな、あれ。 今は、痛みを感じる神経すらない。 左手の中指を軽く引っ張り、第二関節を上に思いっきり折る。 すると、隠れていた銃口が顔を覗かせる。 『腕の中に銃を入れるなんて、お前らやっぱりおかしい』     
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