ep1

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『はあ……』 恐らく二階の、見張りが窓から覗いていた部屋だろうな。 階段に行き着いた。 ここからはなるべく静かに動く。 廊下の突き当り。 右側の部屋だな。 よく見てろよ、シャリス。 扉を蹴り飛ばす。 中の様子が見える。 『エリカ!!』 ベッドの上、縄で縛られたエリカ。 俺に向けられた銃口。 四つ。 左へ跳ぶ。 撃たれる。 銃弾が木を抉る音。 『ああああああああああ!!』 「静かに」 一人、頭の悪い奴が扉から飛び出す。 射撃。 動かなくなった。 残り三人。 少し待つ。 ……流石に来ないか。 廊下の突き当りにある窓に手をかける。 体を持ち上げ枠に足を乗せる。 そこからゆっくりと、壁面の配管に体重を預ける。 頼むから、崩れないでおくれよ。 ありとあらゆる凹凸を駆使し、少しだけ左に移動。 よし、届くか。 左手の中指を、エリカがいる部屋に窓から突っ込み、俺は可能な限り大声で叫んだ。 「ばーーーーーーーん!!!!」 敵が身じろぎする。 その音だけに集中する。 演算。 射撃、射撃、射撃。 …………そして静かになった。 「よっと」 窓から部屋の中にお邪魔する。 「あ、わりぃ」 降りるときに、ぐにゃりとしたものを踏んでしまった。 その衝撃で、男の目が開く。     
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