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「えー海村先生がおっしゃった通り、私は今日で転校することになりました。
私自身、昨日の夜決まったことなので、すごくびっくりしています。こんなかたちでみんなとお別れすることになって、すごく寂しいです。このクラスはほんとに良いクラスでした。みんなと体育祭とか、修学旅行を一緒に楽しみたかったです。それができなくて残念です。
でも、私は少し遠くに行っちゃうだけで、居なくなっちゃうわけじゃないんだから!夏休みとかなら予定合わせれば会えるんだし、もしかしたらどっかでばったり会うかもしれないんだから!みんなといれて本当に良かったです。みんな本当にありがとうございました。」
彼女が一番悲しくて、不安がいっぱいなはずなのに、悲しい顔をせずに、笑顔で言った。
僕はそんな彼女の言葉が殆ど耳に入ってこなく、放心している。
クラスからは泊手とともに泣き叫ぶ声も聞こえた。
中には「歩美!」や「長塚!」と呼びかけるものもいた。そんな状態がしばらく続いていた。
そして少し経ってからチャイムが鳴った。
「この雰囲気の中言いにくいんだが、今日は通常通り授業があるので、そろそろ授業の準備をして着席するように」
海村先生はそう言って、教 室から出ていった。
その瞬間クラスの大半の生徒が長塚歩美のところに駆け寄った。
「どこに転校するの?」と聞くものもいれば、」「お別れなんて嫌だよ」「行かないで」と言うものもいた。
彼女はそれに笑顔で答えていた。
僕は突然の出来事に驚いた。
だが心の中で決心した。ズボンのポケットに入っている黄色いものを握りしめながら。
だが時というものは残酷で、あっという間に時間が過ぎていった。
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