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1話
目が覚めた。
時計の針を見ると午前九時三十分を過ぎていた。
何だもうこんな時間か、と思い、眠い目をこすりながら起き上がり、カーテンを開き、外を見ると薄暗い雲が空を覆っていて、閉まっていた窓を開けると室内よりも冷たい風が中に入り込んでくる。
入ってきた風は冬ではないので「寒い。」とはなんないものの涼しい、と感じるほどの風だった。
部屋を出て洗面所へ行き顔を洗う。
そしてトイレに行き用を済ませ、台所で麦茶を飲む、これが僕の毎朝のパターンだ。
一見そんなに普通とは変わらないように見えるが、ちょっとしたこだわりがある。
それはまず、顔を洗うのはいつも冷水ということだ。どんなに寒い日でも、冷水で顔をあらうのは欠かせないことだ。
なんと言うんだろう、眠い顔に冷水で洗うことで、眠気、だるさ、怠惰な気持ちなどが洗い流せるからだ。冬にお寺の方などが滝に打たれるのと同じ感じである。
いや、お寺の方々の修行と俺のどうでも良いこだわりを一緒にしては失礼か、もうそんなことはどうでもいいか、と頭の中の自問自答を切り上げた。
もうひとつは、冷たい麦茶を飲むことである。
そのためには、寝る前の一時間前からは水分を取らないようにしている。
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