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「キーンコン、カンコン」
古いチャイムの音が鳴った。
だがクラスのほとんどの者が座ろうとしない。
今のチャイムはホームルーム開始の合図だ。
会話の声がチャイムの前よりも少し小さくなったのは、隣のクラスの迷惑にならないためだろう。
「はーい!みんな座って!」
穏やかな感じの女性の声がした。
それとともに立ち歩いていた生徒は着席した。
いつも僕のクラスはホームルームの開始のチャイムが鳴っても殆どの生徒が着席せず、青島先生の呼び掛けとともに着席するというのがいつものお決まりだった。
だが僕は多数の方ではなく、もとから着席している少数の方だ。
だが、やけに今日は着席するスピードが速く感じた。
それは小柄な女性の後に、体格が良い、高身長の男が入ってきたからだった。
その正体は、海村先生だった。
海村先生は、僕たち二年生の学年主任の先生であり、全校の風紀員会の代表の先生で、バスケットボール部の顧問を務めているという絵に描いたような熱血教師だ。ちなみに海村先生率いるバスケットボール部は全国大会にも行ったこともある強豪だ。
そんな海村先生が教えている教科は意外にも理科である。
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