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真っ白な世界で君と二人
気づいたらそこにいた。
横断歩道を飛び出してトラックにぶつかった~とか、歩いていたらいきなり通り魔に刺された~とか、VR的なMMOを始めた~とか、そんなお決まりなパターンを踏襲した訳でもなく、本当に気づいたらそこにいた。
俺の記憶が確かならば、明日は学校に転校生が来るらしいから寝坊はいけないと珍しくいつもより1時間くらい早い時間に寝た。それから気づいたら俺はここにいる。
この、周り360°真っ白な世界に、俺は寝る前の寝巻のまま突っ立っていた。
見えるものといえば、白、白、白の三拍子。
ここまで執拗となると漂白剤ですら白に染め上げられかねない驚きの白さだ。
周りを見ても何にもなく、上を見ても分かることはこの白さの原因くらい。
その原因は、止まる気配のない雪のように降り注ぐ「白」だ。
これが雪ではなく「白」なのは単純に冷気を感じないから。肌に触れても感じるのはそこにあるという感触だけ。それを雪だと断定するのは如何なものかと思った。ただそれだけ。
「ここ、どこ……?」
ここに来て俺は当たり前の疑問に直面した。
すなわち、やっと状況を理解し始めたのである。
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