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それと同時に俺と少女の周りにある「白」がホコリのようにふわりと舞う。
「あっぶねぇ……」
俺が少女の事に気づくのが遅れた理由は一重に、この場所そのものを表すような容姿にあった。
髪、服装に至るまで、この少女は真っ白だった。
肩辺りまで伸びた髪の毛は凝視しなければ降り積もった「白」との境目が判らないほどに白く、服装もこれまた「白」に同化する勢いのワンピースを着ていて、わかりにくいことこの上ない。
更に肌ですら日に当たっていないのが丸わかりという状態であるから、これは最早見にくさの暴力といっていいかもしれない。
「え、えーっと……」
「…ん………うーん……」
どうしようか悩んでいると、少女からのうめき声と同時に手足が動く。
どうやら起きた様子で安心するが、これはこれでどうしたものか……。
「ふぁ……?君は?」
「え、あー……っと、君原(きみはら)祐一(ゆういち)、高校1年デス。はい」
「ふーん……そう。ふぁ……ねむぃ。私は白石(しらいし)祈(いのり)、君と同じく高校一年生」
少女―――白石祈は眠気を隠そうともせずに自己紹介にこたえる。
それに対してちょっとイラッと来たのは俺だけの秘密だ。
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