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真夜中に咲く、黒いダリアの花
ジェファーソンは書斎奥の書庫をあさりながら、愚痴をこぼしていた。。
「ちっ、あの爺さんむかつくぜ」
昼間。
ジェファーソンは、検死報告書の作成者であるドクターダグの元を訪れていた。
しかし、
「検視報告書に不備はないし、警察も受理しています。もうその仕事は終わっているんですよ。お引き取りください」
と、門前払いを食らった。
「ああいう、やる気のない爺さんは、ぶん殴ってやりたいぜ。・・・あった」
大きな書庫ではないが、びっしりと隙間なく本で埋め尽くされている。これが、犯罪ウィキペディアの中核である。この大量の犯罪レポートはジェファーソンが作ったものではない。作成者の名前は、ジミー・ベケット。故人である。正確な享年は不明だが、恐らく60代後半から70代。
彼は、警察署で長年、清掃員として働いていた。やや知恵遅れの傾向があり、人と話すことも好きではなかった。淡々と清掃を済ませ、家に帰り、ほとんど外には出ない。そんなもんだから、警察署のほかの職員も彼に話しかけるものはほどんななかった。ただし、ジェファーソンだけは別で、彼とたびたび談笑する関係だった。
ある日、ジミーが亡くなる。亡くなる直前、遺言を病院関係者に伝えていたことが判明する。「遺物の所有権はすべてジェファーソンのものとする・・・すべて捨ててもらってか構わない」
すべて捨てるとはいえ、遺品整理を任され、少しうっとおしいと思ったが、500ドル程度の遺産も受け取っていたため、しぶしぶ彼の家に向かった。
彼の小さなアパートの部屋は、膨大な書類で埋め尽くされていた。中を読んでみると、古今東西、すべての犯罪に関するレポートが記載されていた。ジミーは、死に至るまで、警察署の清掃員の仕事を使って、あらゆる犯罪を記録していたのだ。
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