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帰宅しても、ジェファーソンは部屋で一人、資料を読み続けていた。
数々の凄惨な写真が並ぶ。彼の手がとまる。
それは、女性の胸元の写真。彼の手を止めたのは、そこに施されている黒いTATTOO。ジェファーソンは、老眼鏡を取り出し、タトゥーに目を凝らす。
「・・・ダリア・・・?」
ダリアとは、日本のボタンに似た多年生草花。
大げさではなく、全身に隙間なく傷がつけられているのに、胸元を大きく覆うダリアのタトゥーは無傷で、”綺麗”だった。
「犯人は、あえてこのタトゥーに傷をつけなかった。なぜだ?」
答えはすぐにはでない。
彼女の体で極めて特徴的なところだ。彼女を切り刻みたい、汚したいと考えている猟奇的殺人鬼ならば、むしろ、真っ先に標的とするべきではないかと、ジェファーソンは考える。
「分からないな」
深く考えても意味はなさそうだ。ジェファーソンは、キッチンでコーヒーを作り、それを口にした。
「タトゥーねぇ」
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