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彼は、右手の袖をまくり上げた。彼の二の腕には、大きく「ダン」と書かれたタトゥーが刻まれていた。「ダン」とは、彼の息子の名前。「ダン」はジェファーソンが40歳の時にできた子供で、溺愛していたが、例の事件で世間の風当たりが強くなったころ、元妻はダンを連れて出ていった。年下の妻は、彼と故郷が同じだった。
「黒い、、、ダリアの花・・・ブラック・ダリア・・・そういやぁ、俺の故郷でそんな事件が、昔あったよなぁ」
ジェファーソンは、ピンと来た。
彼は分厚いファイルを取り出して、ページを猛スピードでめくった。これが、彼の秘密兵器。犯罪の百科事典。現代風にいうと、犯罪ウィキペディア。
「これか」
彼の検索スピードは、ヤフーなみに早い。
「ブラック・ダリア事件」
1947年。同じくカリフォルニア州のとある街で、散歩中の少年が真っ二つに切断された女性の死体を発見する。被害女性が、女優志望の美しい女性であったこともあり、事件は新聞にセンセーショナルに書き立てられる。しかし、犯人は見つからず、(レポートを作成した1974年)今も未解決の事件である。
参考資料として、FBIによる捜査報告書が、添付されていた。
「遺体には、口角に大きな裂傷。右の乳房は切り取られ・・・」
遺体の状態はどことなく、今回の事件に似ていた。一番の決め手は、被害者の顔写真・・・まさにサキ・ペインズと瓜二つであった。
ピロピロリン!
ジェファーソンの携帯が鳴る。
「キャシーか」
表示されている電話番号は元妻のものだ。
「はいもしもし?」
「パパ?」
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