仕事熱心な若手医師

2/4
前へ
/23ページ
次へ
深夜。 開院時間はとっくに終了し、院内には当直の限られた職員のみ。 地下。 霊安室の照明が着く。 そこにいるのは、ジョージ。 彼は、サキ・ペインズの遺体を取り出し、簡易的な手術台の上に置いた。もちろん、上半身と下半身両方だ。 「はぁ、はぁ、はぁ」 ジョージの息が上がっている。 女性とはいえ、人間一人を移動させるのは、重労働だ。 ただ、彼の息が上がっている理由はそれだけではない。 手術台の上のサキ・ペインズの死体。胸元のTATTOOを、ジョージが指でなぞる。 「はぁ、はぁ、はぁ」 彼は、ジョージの息がさらに荒くなる。 (彼女に触れたい・・・) これは犯罪、、、重大な違反行為である。もちろん、そんなことはジョージは分かっている。しかし、衝動を止められなかった。 ジョージは、ダリアのタトゥーに唇を近づけ、接吻した。 おぎゃぁ・・・ 赤子の鳴き声が聞こえた。 ジョージの心臓が一瞬止まる。 (幻聴か?・・・) 幽霊など信じていないが、深夜の霊安室という絶妙なシチュエーションに、異常者であるジョージですらも飲まれていたのかもしれない。と彼は思った。 おぎゃあ! 今度は確かに聞こえた。 (幻聴じゃない・・・) ガシャン! 「はっ!」     
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加