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音の発信源に振りむく。
ガシャン!
「だれかいるんですか?」
大量の冷や汗が溢れ出る。
(バレたら終わりだ)
「誰かいるんですか?」
もう一度、問いかける。
暗闇から、現れたのは黒猫。
「なんだ・・・」
ジョージが一息つく。
(あの赤子の泣き声も、猫の鳴き声を聞き間違えただけか)
猫はまっすぐに、ジョージに近づき、鋭くきれいな瞳で、ジョージをまっすぐに見つめる。
「一体どこから忍び込んだんだ?」
この地下の冷暗室は、もちろん最低限必要なセキュリティは完備されていて、小動物とはいえそう簡単に忍び込めるものではない。黒猫は、ジョージの足元にすりより、顔を擦りつけた。毛並みが艶やかで、美しい黒猫だ。
「野良ネコじゃない?誰か患者の猫だろうか?」
彼は、黒猫をゆっくりと抱き上げ、猫を撫でる。猫は、撫でられても、鳴き声も上げず、じっとジョージを見つめたままだ。
ジョージは撫でる手を止め、猫の瞳を見つめ返す。
猫の住んだ瞳は、虹彩の色をはっきりと映し出している。
「綺麗だ。君も彼女と同じくらい綺麗だ」
突然。ジョージは、その唇を黒猫に近づける。
「イタッ!」
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