第十四章 すれちがい

17/20
830人が本棚に入れています
本棚に追加
/392ページ
「んっ、待って、まだ、ーーんっ、もっとほぐさないとっ」  苦しくても強引に、奥に捩り込む。痛くて、苦しい。それは胸の痛みか。  苦しくて、苦しくて、息がつまる。 「桔平くんっ!」  ハッとした。  同時に結さんの体を突き飛ばし、ナカから抜き去る。  頭から血の気が引く。俺は、俺は・・・。なんてことを。  こんな、無理矢理みたいな。結さんの体を開いて、押し付けて。  痛がる結さんを無視してーーー。 「ごめ、なさい・・・ごめんなさい・・・」  ガクガクと震える体。はらはらと涙が溢れて。 「桔平くん? 大丈夫、大丈夫だから」  優しい声が俺に向けられ、余計に苦しくなった。優しくしないで。こんな俺に。優しい手なんていらない。
/392ページ

最初のコメントを投稿しよう!