最終章 オレと先生とそれから猫のシェリーと・・・

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「なぁん」 「ほら、シェリーもお疲れさまって言ってますよ」 「ほんと? シェリー、君はできた猫だね」  俺に抱きつきながら、そばにやって来たシェリーを撫でる。シェリーは嬉しそうに結さんの手に体を擦り付けながら甘えている。  すっかりシェリーもこの家の猫だ。  俺が結さんに不審がられず近づくために捕まえた野良猫だったのに。すっかり、ずっと前からいるみたいに馴染んで。結さんも、とても可愛がってくれて、もう家族の一員だね。  結さんと出会ってから、俺が得たものはたくさんある。  居場所や、愛情、それから友情。  公平くんや、 中條さん。バーで出会った人たち。それから、時任さんに寧々ちゃん。たくさんの出会い。  家族と離れるって決心をしたけど、後悔なんてしていない。あれから家族がどうしているかはわからない。  母に厳しいことを言われ、兄にないがしろにされていた弘子さんにも幸せになってほしいと切に願う。結局、なんのサポートもしてあげられなかったことだけが心残りだ。でも、幸せになってほしいと願う。  そして、両親や兄も、俺とのことで多少の改心が見られたらいいと願っている。難しいことだとは思うけど。  決別もあったけれど、それ以上に幸せがここにはあって。  俺は今、きっと世界で一番幸せだと思える。
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