6. はじまりの鐘

15/15
前へ
/58ページ
次へ
 すとんと何かが落ち着いたのを感じたとき、ちいさな願いがこぼれ落ちた。 「生きたい――」  ケントがはっと息を呑む。押しつけられた胸に耳をあてる。力強く躍動する生命の営みを感じる。 「ああ、生きよう」  胸のあたりに温かな光が灯る。その光につける名前すらも、まだ知らないとレイは気づく。  世界は、まだわからないことだらけだ。  レイはちいさく笑って目を閉じた。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加