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金曜の夜。
水野さんは、婚約破棄についても上長に知らせなくていい、と言っていた。
自分と結婚するんだから、と。
思えば、随分自信に満ちた言動だ。
私はまだ、水野さんのプロポーズにOKを出しだわけでもないのに。
土曜日。
水野さんからLINEが来た。
デートのお誘いだ。
特に断る理由もなかったから、私はOKした。
どこに行くのかは聞いていなかったから、動きやすいパンツスタイルにした。
連れて来られたのは、某夢の国。
一度はいってみたいと思いつつ、未だ行ったことのなかった場所だ。
水野さんにひっぱられるように、様々なアトラクションに乗って、キャラクター達と写真を撮った。
夜にはパレードも見た。
もうそれだけで、私は満足だった。
でも、これから帰るんだろうと思っていたら、水野さんは夢の国に併設しているホテルにチェックインした。
まだ、告白されて1日しかたっていないのに、一緒にお泊りは流石に……
そんな私の気持ちを読んだかのように、
「部屋は一部屋だけど、ベッドルームは2つついてるから、心配しなくても大丈夫」
と笑った。
2部屋も寝室があるなんて、きっと高い部屋なんだろう。
「宿泊費、半額出させてください」
流石に申し訳なくてそう言ったが、水野さんはそんな私にデコピンした。
「初めてのデートくらい、カッコつけさせてよ」
そう言われてしまえば、これ以上我を通すのも失礼に当たる。
「わかりました。ありがとうございます」
部屋はファンシーで、さすが夢の国、と変なところで感心してしまった。
私たちは順番にお風呂を使って、明日に備えて早く寝た。
寝る時、ちょっと緊張したけど、水野さんの方からなんの物音もしなかったので、安心して眠りについた。
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