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お腹の子は問題なく順調に育ち、やがて産み月を迎えた。
「子供の名前なんだけど」
お腹の子が男の子だというのは、もう分かっている。
武士さんにも教えた。
武士さんと二人、名付けの本を何冊も買って、画数やゴロなど考慮に入れながら、いくつもの名前を候補にあげた。
もういつ生まれてもおかしくない時期に、武士さんが切り出した。
「蓮にしたい。調べたら、画数も問題ないみたいだし、キラキラネームでもないし」
子供の名前を「蓮」にすることは、私も考えたことだった。
でも、さすがに元カレの名前をつけるのは武士さんも複雑だろうと、候補からあえて外していた。
「蓮みたいに、優しいいい子に育ってほしいし、蓮を、いつでも感じることができるだろ?」
「いいの?」
「むしろ、俺がそうしたい。蓮は俺の恩人だから」
蓮がいなければ、きっと私と結婚できなかった。
蓮じゃなければ、托してもらえなかった。
武士さんはいつもそう言って、蓮に感謝している。
そうやって考えることのできる武士さんが、私はとても好きだ。
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